老後を愉しむ家
この住宅は、老夫婦のリタイア(といっても70歳を超えた)後の住まいとして建てられた。
プランニングの大きな特徴は施主が高齢であるので1階平面での日常生活を重視し、主寝室を中心として、中庭を介して右に和室、左に洋室の2タイプの居間を用意し、水廻りも主寝室から直接出入りできるようにした。
二人だけの生活であるが故に平面の生活が全てつながりを持ちつつも、個人の空間のある、互いの「気配が感じられる」住まいとなっている。外部からのアプローチも、将来車椅子への対応を考えているが、中庭へは、寝室からベッドでそのまま移動でき、老後を愉しくお二人で生活できる安心感を備えている。
今回の計画で、私の亡母の介護経験が大いなる助けとなった。グループホームで満ち足りない御老人方がプライドを持って生活ができる手法を建築を通して考えさせられるプロジェクトであった。